低温科学研究所 生物適応研究室

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ラボ運営方針 TANAKA LAB 7ヶ条

私たちの研究室では何を大切にしているのか

研究室に所属するすべてのメンバーが、研究能力を高め、楽しく研究活動を推進し、研究を発展させるために、研究室として色々な方針(標語)を持っています。その一部を紹介します。

1)3分の希望と7分の不安

研究室が院生の研究テーマを決める基準です。希望ばかりの課題は、往々にして大きくは発展しません。また、希望がほとんどない課題は、研究を推進する意欲が低下し、また本質的な問題を抱えている場合が多くあります。「3分の希望」は課題の潜在的な可能性を示し、また学生の意欲も掻き立てられる、黄金比ともいえます。

2)小さな喜びと大きな夢

特に生物の研究は、日々小さな喜びがあります。植物がうまく育った、遺伝子が繋がった、コロニーができた、酵素活性が測定できた、細胞が育った、遺伝子が読めた、洗い物が終わったなどです。これらは生物学の醍醐味です。一方で、生物学のどの様な課題に取り組むのか、どのような研究分野を開拓するのか、どのような研究者になるのか、などの大きな夢を持つことも必要です。どちらか一方だけでは、生物学を真に楽しんだことにはなりませんし、長く研究活動を継続することもできません。

3)猫にワンとは鳴かせない

研究の最終結果は、研究者の個性は見られませんが、どのような課題に取り組むか、どのような研究手法を用いるのか等、研究活動は非常に個性的で、研究者の様々な能力が発揮されます。当たり前の話ですが、研究者は様々な個性を持っています。院生一人一人の個性と能力を発揮して、研究を推進することを期待しています。研究室としても、猫にワンと鳴くことを要求しません。

4)生物の研究は時として人間の知恵を超える

研究は論理的に取り組む側面と、偶然に期待する側面があります。特に生物の研究はその傾向が強いと考えています。この研究室では、これら2つの側面を大切に研究を進めています。

5)魚信(アタリ)を見逃すな

全ての実験は、真実を反映しています。その中から、大切なメッセージ(アタリ)を読み解くことができる場合があります。釣人なら知っていることですが、小さな魚信は必ずしも小さな魚を意味していません。あたりが弱くても大きな魚が釣れる場合があります。私たちはどのような魚信も注意深く見なければなりません。しかし、時として、自分では気が付かず、隣の釣人に指摘されることがあります。実験結果を常に多くの人と議論することも大変重要です。ベテランになると、どのような小さなアタリの場合に大きな魚なのか解るようになります。経験を重ねましょう。

6)楽しくなければどこか間違っている

研究活動は本質的に楽しいものです。もし、楽しいと感じないなら、研究の方針や研究室のあり方に、どこか間違いがあります。研究室のメンバーが楽しく研究活動を進めているか、研究室として常に気を付けています。

7)最後に頼れるのは自分だけ

研究室に新しく加わった院生が、間をおかず気が付くことは「先生も良くわからないのだ」と言うことです。院生が取り組んでいる研究の意味や解析方法について、実は、先生も十分に理解していません。新しい課題に取り組んでいるのですから、これは宿命なのです。最後は院生自身の力で解決するしかありません。「先生は信頼しても、信用するな」と言ったところでしょうか。いつまでたっても、この大切なことに気が付かない院生は少し心配です。