低温科学研究所 生物適応研究室

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論文リスト

2024年

  • M Kitao, K Yazaki, H Tobita, E Agathokleous, J Kishimoto, A Takabayashi, R Tanaka (2024)
    Anthocyanins act as a sugar-buffer and an alternative electron sink in response to starch depletion during leaf senescence: a case study on a typical anthocyanic tree species, Acer japonicum
    J. Exp. Bot. 7;75(11):3521-3541. [Access]


  • Sato A, Hirose M, Tanaka R, H Itoh, H Tamiaki (2024)
    In vitro demetalation of central magnesium in various chlorophyll derivatives using Mg-dechelatase homolog from the chloroflexi Anaerolineae
    Photosyn. Res. 160(1):45-53.
    [Access]

2023年

  • Sumida, A., Inagaki, Y., Kajimoto, T., Katsuno-Miyaura, M., Komiyama, A., Kurachi, N. Miyaura T, Hasegawa, SF, Hara T, Ono K, Yamada M (2023) Allometry of the quasi-pipe (qPipe) model for estimating tree leaf area and tree leaf mass applied to plant functional types. Sci Rep. 13: 9954. [Access]

  • Kohata R, Lim HS, Kanamoto Y, Murakami A, Fujita Y, Tanaka A, Swingley W, Ito H, Tanaka R* (2023) Heterologous complementation systems verify the mosaic distribution of three distinct protoporphyrinogen IX oxidase in the cyanobacterial phylum. J Plant Res 136: 107-115 [Access]

  • Wada N, Kondo I, Tanaka R, Kishimoto J, Miyagi A, Kawai-Yamada M, Mizokami Y, Noguchi K* (2023) Dynamic seasonal changes in photosynthesis systems in leaves of Asarum tamaense, an evergreen understorey herbaceous species. Annals Bot 131:423-436 [Access]

  • D. Dey, R. Tanaka, H. Ito (2023) Structural Characterization of the Chlorophyllide a Oxygenase (CAO) Enzyme Through an In Silico Approach J. Mol. Evol. 91:225-235 [Access]
    植物の持つクロロフィルbはクロロフィルaから合成されます。この反応を触媒するモノオキシゲナーゼは二つの非ヘム鉄を介して電子を基質に渡していることが知られていますが、その構造の詳細は不明です。また、一部の緑藻は非ヘム鉄の結合部位が二つのペプチドに分かれています。本研究においてコンピューターによりこれらのモノオキシゲナーゼの構造を予想したところ、電子伝達にかかわる成分が適切な位置にあること、また電子の受け渡しにかかわるアスパラギン酸もその位置が保存されていることが示されました。

2022年

  • Kitao M, Yazaki K, Tobita H, Agathokleous E, Kishimoto J, Takabayashi A, Tanaka R (2022) Exposure to strong irradiance exacerbates photoinhibition and suppresses N resorption during leaf senescence in shade-grown seedlings of fullmoon maple ( Acer japonicum). Front Plant Sci. 13:1006413 [Access]

  • Sapeta H, Yokono M, Takabayashi A, Ueno y, Cordeiro AM, Hara T, Tanaka A, Akimoto S, Oliveira MM, Tanaka R (2022) Reversible down-regulation of photosystems I and II leads to fast photosynthesis recovery after long-term drought in Jatropha curcas. J. Exp. Bot. 74(1):336-351 [Access]
    ポルトガル・リスボンからの留学生で低温研客員研究員のHelena Sapetaさんと低温研研究員の横野牧生さん(現:基礎生物学研究所)が中心になって、 乾燥に強い植物Jatropha curcasの光化学系について、さまざまな角度から研究を行いました。神戸大学秋本誠志博士、植野嘉文博士(現:東京理科大) との共同研究により、積分球を使ったクロロフィル蛍光の計測から、光化学系Iと光化学系IIの両方において、乾燥時には量子収率の低下が起きている ことが見いだされました。この論文は、Journal of Experimental BotanyのVol. 74の”Insights”というコーナーで取り上げられました。 Insightsへのリンクはこちら。

  • Dey D, Nishijima M, Tanaka R, Kurisu G, Tanaka H, *Ito H (2022) Crystal structure and reaction mechanism of a bacterial Mg-dechelatase homolog from the Chloroflexi Anaerolineae. Protein Sci 31:e4430
    この研究は大阪大学蛋白質研究所との共同で行われたものです。植物のクロロフィルの分解は中心金属のマグネシウムがマグネシウム脱離酵素によって外されることにより始まりますが、その触媒機構はわかっていません。本研究では触媒機構の解明を目指してバクテリアの持つマグネシウム脱離酵素の結晶構造(PDB:7Y5Y)を明らかにしました。その結果、ヒスチジンかアスパラギン酸がマグネシウムに配位してマグネシウムを外していることが推測されました。 [Access]

  • Ito H, Saito H, Fukui M, Tanaka A, Arakawa K (2022) Poplar leaf abscission through induced chlorophyll breakdown by Mg-dechelatase. Plant Sci. 324:111444 [Access]
    これは農学部との共同研究です。ポプラは秋になり気温が下がるとクロロフィルが分解して紅葉し、やがて落葉します。本研究では、ポプラの若い葉で強制的にクロロフィルを分解する酵素(Mg-脱離酵素)を発現させたところ、エチレンが合成され、落葉が観察されました。これらの結果はクロロフィルの分解が落葉の過程を促進している、つまり老化の結果クロロフィルが分解するのではなく、クロロフィルの分解が老化を進めていることを示唆しています。

  • Tachibana R, Yamagami A, Miyagi S, Nakazawa-Miklasevica M, Matsui M, Sakuta M, Tanaka R, Asami T, Nakano T* (2022) BRZ-INSENSITIVE-PALE GREEN 1 is encoded by chlorophyll biosynthesis enzyme gene that functions in the downstream of brassinosteroid signaling. Biosci Biotech Biochem 86:1041-1048 [Access]

  • Matsumae R, Shinsa K, Tanaka R, Takabayashi A (2022) Weak-Acidic Clear-Native Polyacrylamide Gel Electrophoresis for the Separation of the Intact Forms of Thylakoid Protein Complexes. Plant Cell Physiol. 63(7):883-885 [Access]
    Blue-Native(BN)-PAGEやClear-Native(CN)-PAGEはタンパク質複合体をその構造や機能(活性)を保持したまま分離できる「Native電気泳動法」です。これら手法はよく光合成タンパク質複合体の分離にも用いられますが、 泳動中のpHが弱アルカリ性であることが一因となって、光化学系IIから酸素発生複合体(OEC)が解離してしまうという問題点も知られていました。そこで、本研究では、弱酸性(pH6.5)のbuffer系を新しく確立し、弱酸性 でのBN-PAGEやCN-PAGEでのタンパク質複合体の泳動を可能にしました。その結果、CN-PAGEにおいて酸素発生複合体のサブユニットを保持したまま光化学系IIを分離することに成功しました。同時に、予期しなかったことに、 ATP合成酵素も従来法よりも安定に分離することが可能になりました。従来法と比較してこの泳動系に問題点も見当たらず、Native電気泳動法の中でも最良の手法になり得るのではないかと考えています。

  • Maeda H, Takahashi K, Ueno Y, Sakata K, Yokoyama A, Yarimizu K, Myouga F, Shinozaki K, Ozawa SI, Takahashi Y, Tanaka A, Ito H, Akimoto S, Takabayashi A, Tanaka R (2022) Characterization of photosystem II assembly complexes containing ONE-HELIX PROTEIN1 in Arabidopsis thaliana. J Plant Res 135(2):361-376 [Access]
    植物の光化学系IIは、光合成において水を分解して電子を取り出し、酸素を発生させる活性をもつ、重要な役割を担っています。一方で光化学系IIは強光などの条件で激しく分解することが知られています。この論文では、光化学系IIを構築・再構築する過程に注目し、光化学系IIの構築過程で形成されるOHP1複合体のキャラクタリゼーションを行いました。

2021年

  • Fukura K, Tanaka A, Tanaka R, Ito H (2021) Enrichment of chlorophyll catabolic enzymes in grana margins and their cooperation in catabolic reactions. J Plant Physiol 266: 153535 [Access]
    葉緑体のチラコイド膜は構造の違いに基づいてグラナコア、グラナマージン、ストロマラメラに分類することができます。本研究で、クロロフィルの分解に関わる酵素の一部がグラナマージンに局在すること、およびクロロフィル分解に関わる酵素が協力し合ってクロロフィルの分解を進めることが示唆されました。クロロフィルは特定の場所で効率よく分解され、それによってクロロフィル分解産物の蓄積による光障害を抑制していると思われます。

  • Dey D, Dhar D, Fortunato H, Obata D, Tanaka A, Tanaka R, Basu S, Ito H (2021) Insights into the structure and function of the rate-limiting enzyme of chlorophyll degradation through analysis of a bacterial Mg-dechelatase homolog. Comput Struct Biotechnol J 19: 5333-5347 [Access]
    この研究はカルカッタ大学のBasu博士との共同研究です。クロロフィルの分解はクロロフィルの中心金属のマグネシウムがマグネシウム脱離酵素(SGR)によって外されることにより始まります。このような反応は他に例がないため、マグネシウム脱離酵素の構造や反応機構は分かっていませんでした。そこで深層学習法(deep learning)を使用し、アミノ酸配列を比較する統計学的な手法とタンパク質の構造に関わる熱力学的な情報を組み合わせることにより、精度よく立体構造が推測できました。さらに、アミノ酸置換体により構造の確からしさを検証しました。これらの結果をもとに、アスパラギン酸側鎖のカルボニル酸素がマグネシウムに配位してマグネシウムを外していることが推測されました。

  • Suehiro H, Tanaka R, Ito H (2021) Distribution and functional analysis of the two types of 8-vinyl reductase involved in chlorophyll biosynthesis in marine cyanobacteria. Arch Microbiol 203: 3565-3575 [Access]
    クロロフィル合成系に含まれる8-ビニル基還元酵素には鉄を補因子として持つものと持たないものがあります。 シアノバクテリアの中では海洋性のものが鉄を持たない8-ビニル基還元酵素を利用していることを見出しました。 これは陸地や淡水に比べて鉄濃度の低い海洋への環境に適応した結果だと推測されます。 これまでクロロフィル合成系の酵素は酸素濃度や光の影響を受けることが知られていましたが、環境中の鉄濃度も重要な役割を果たすことがわかりました。 クロロフィル合成系の環境適応の新しい例です。

  • Chen Y, Yamori W, Tanaka A, Tanaka R, Ito H (2021) Degradation of the photosystem II core complex is independent of chlorophyll degradation mediated by Stay-Green Mg2+ dechelatase in Arabidopsis. Plant Sci: 110902 [Access]
    クロロフィルタンパク質を分解するときはまずクロロフィルを分解してからタンパク質部分を分解すると考えられてきました。今回、クロロフィルaの分解経路の最初の反応を触媒するマグネシウム脱離酵素(SGR)の欠損株を使って光合成装置の分解を検証しました。その結果、PSIIのコア複合体は例外的にSGRによるクロロフィルの分解とは関係なく分解されることがわかりました。PSIIのコア複合体を分解して光化学系全体を光障害から守っていると考えられます。 また、SGR欠損株は老化時に二酸化炭素の固定量は野生株と同様に減少していきますが、PSIの活性はある程度維持されることが示されました。クロロフィルの分解が顕著ではない常緑樹ではどのような違いがあるのか興味が持たれます。

  • Aso M, Matsumae R, Tanaka A, Tanaka R, Takabayashi A (2021) Unique peripheral antennas in the photosystems of the streptophyte alga Mesostigma viride. Plant Cell Physiol. 62,3; 436-446 [Access]
    Mesostigma virideは植物の祖先であるストレプト藻類の中でも最も早く分岐したとても「古い」緑藻です。私たちは、緑藻から陸上植物への進化に伴う光化学系の 分子進化を調べるために、M.virideの光化学系を解析しました。具体的には、PacBioを用いたIso-seq解析を行い光合成タンパク質のアミノ酸配列を得るとともに、 光化学系をCN-PAGEで分離してLC-MS/MSでそのタンパク質組成を調べました。その結果、M.virideの光化学系がとてもユニークなアンテナ系を持つことを明らかに しました。現在も、M.virideの光合成システムの解析を続けていて、陸上植物への進化に伴ってどのような変化が生じたのかを明らかにしていきたいと思っています。
    この研究は2020年度に修士号を取得された麻生さんが中心となって行いました。

  • Kameo S, Aso M, Furukawa R, Matsumae R, Yokono M, Fujita T, Tanaka A, Tanaka R, Takabayashi A (2021) Substitution of deoxycholate with the amphiphilic polymer amphipol A8-35 improves the stability of large protein complexes during native electrophoresis. Plant Cell Physiol. 62, 2; 348–355 [Access]
    Blue-Native(BN) PAGEやClear-Native(CN) PAGEはタンパク質複合体の機能や構造を維持したまま電気泳動法で分離する技術で、タンパク質複合体の解析には重要な技術の1つです。 青色色素であるCBBを用いるBN-PAGEと異なり、CN-PAGEは光化学系タンパク質複合体の分離後の分光学的な測定を阻害しないため、色素タンパク質複合体である光化学系の解析にとても 適した手法です。私たちは、両親媒性ポリマーであるAmphipol A8-35を用いて、CN-PAGEを改変しました。その結果、DOCを用いた従来法と比べて、A8-35を用いた改変法ではPSII-LHCII の解離が少ないことが明らかになりました。これは、A8-35がPSII-LHCIIからのLHCIIの解離を防止する働きがあるからであると考えられました。従来法と比べて目立った欠点もないよう ですので、とりわけPSII-LHCIIのダイナミクスを調べる際には、私たちの改変法は従来法よりも良い手法であると考えています。
    この研究は院生(修士)の亀尾さんが中心となって行いました。

2020年

  • Shin D, Lee S, Kim T-H, Lee J-H, Park J, Lee J, Lee JY, Cho L-H, Choi JY, Lee W, Park J-H, Lee D-W, Ito H, Kim DH, Tanaka A, Cho J-H, Song Y-C, Hwang D, Purugganan MD, Jeon J-S, An G, Nam HG (2020) Natural variations at the Stay-Green gene promoter control lifespan and yield in rice cultivars. Nature Communications 11: 2819
    この研究は韓国のLee教授、Nam教授らのグループが中心になって行われました。イネのインディカはジャポニカに比べて生育期間が短いため、一年中栽培できる南方の作物として適しています。インディカではクロロフィルの分解に関わる遺伝子Stay-Greenがジャポニカより早く発現することがわかりました。この遺伝子を破壊してもクロロフィルの分解が遅れるだけでコメの収量は増えません。しかしジャポニカと同程度にこの遺伝子の発現時期を遅らせたところ、生育期間が長くなりコメの収量が増加しました。この成果の育種への応用が期待されます。

  • Hu X, Ting J, Hörtensteiner S, Tanaka A, Tanaka R (2020) Subcellular localization of chlorophyllase2 reveals it is not involved in chlorophyll degradation during senescence in Arabidopsis thalina. Plant Sci, 290: 110314
    2015年にPlant Physiologyに発表した論文の続報です。 chlorophyllaseというクロロフィル分解酵素の2つ目のisoformもやはり液胞に存在すること、 そして、老化のときのchlorophyll代謝には関わっていないことを報告しています。

2019年

  • Furukawa R, Aso M, Fujita T, Akimoto S, Tanaka R, Tanaka A, Yokono M, Takabayashi A (2019) Formation of a PSI–PSII megacomplex containing LHCSR and PsbS in the moss Physcomitrella patens. J. Plant Res. 132(6):867-880. doi: 10.1007/s10265-019-01138-2. [Access]
    私たちはシロイヌナズナで光化学系IとIIの一部が光化学系I-II超複合体を形成し、スピルオーバー(光化学系IとIIの間で励起エネルギー移動が起こること)活性を持つことを 報告しました(Yokono et al. 2015)。さらに本研究では、ヒメツリガネゴケも光化学系I-II超複合体を形成し、しかもその超複合体がスピルオーバー活性を有していることを 明らかにしました。興味深いことに、維管束植物では進化的に失われたLHCSRタンパク質がこの超複合体に結合し、zeaxanthinおよびデルタpH依存的に熱放散し得ることも 明らかになりました。これらの結果は、陸上植物の分化初期に光化学系I-II超複合体依存的なスピルオーバーが陸上環境での光防御に貢献していたことを示唆するものです。

  • Obata D, Takabayashi A, Tanaka R, Tanaka A, Ito H (2019) Horizontal transfer of promiscuous activity from non-photosynthetic bacteria contributed to evolution of chlorophyll degradation pathway. Mol. Bio. Evol. 36: 2830-2841. [Access]
    植物のクロロフィル分解に関わるマグネシウム脱離酵素と相同な遺伝子が、光合成を行わない枯草菌などのバクテリアにも存在し、 その組換えタンパク質が植物の酵素より高い活性を持つことが示されました。バクテリアの中ではこの酵素の役割はクロロフィル 分解ではないと予想されています。そのためマグネシウム脱離活性には選択圧がかからず、高い活性をもつものがあり、その遺伝子 を植物が取り込み、その後代謝系の制御の必要性から植物内では活性が抑制されていったと考えられます。

  • Lim H, Tanaka A, Tanaka R, Ito H (2019) In vitro enzymatic activity assays implicates the existence of the chlorophyll cycle in chlorophyll b-containing cyanobacteria. Plant Cell Physiol.60: 2672-2683. [Access]
    大部分のシアノバクテリアはクロロフィルとしてはクロロフィルaしか持っていませんが、 AcaryochlorisRCC1774はクロロフィルbも持っています。組み換えタンパク質の酵素活性を測定することにより、 このシアノバクテリアは植物と同じようにクロロフィルbを分解する能力を持つことが明らかになりました。 この結果はクロロフィルの分解が光合成生物に重要なため普遍的に存在することを示唆しています。

  • Ono K, Kimura M, Matsuura H, Tanaka A, Ito H (2019) Jasmonate production through chlorophyll a degradation by Stay-Green in Arabidopsis thaliana. J. Plant Physiol. 238: 53-62. doi: 10.1016/j.jplph.2019.05.004 [Access]
    シロイヌナズナにおいてSGR(クロロフィル分解に関わるマグネシウム脱離酵素)を過剰発現し、クロロフィルを分解させたところ、ジャスモン酸イソロイシン(活性型のジャスモン酸)が蓄積することが明らかになりました。このジャスモン酸イソロイシンが、老化の促進などに関わっていると予想されます。

  • Yokono M, Takabayashi A, Kishimoto J, Fujita T, Iwai M, Murakami A, Akimoto S, Tanaka A (2019) The PSI-PSII megacomplex in green plants. Plant Cell Physiol. 60(5):1098-1108. doi: 10.1093/pcp/pcz026. [Access]
    私たちは2015年に一部の光化学系Iと光化学系IIが超複合体を構成していること、その超複合体内部で励起エネルギーを共有できることを見出しました(Yokono et al. (2015) Nature Communications)。 本研究では光化学系I-II超複合体が緑色植物に広く存在していること、強光耐性に貢献していること、さらに電子顕微鏡を利用して作成した構造モデルの提案を行っています。

  • Tanaka A, Tanaka R (2019) The biochemistry, physiology, and evolution of the chlorophyll cycle. In Advances in Botanical Research: Metabolism, Structure and Function of Plant Tetrapyrroles: Introduction, Microbial and Eukaryotic Chlorophyll Synthesis and Catabolism. Grimm B (Ed.) Elsevier 90: 183-212.

  • Chen Y, Shimoda Y, Yokono M, Ito H, Tanaka A (2019) Mg-dechelatase is involved in the formation of photosystem II but not in chlorophyll degradation in Chlamydomonas reinhardtii. Plant J. 97: 1022-1031. doi: 10.1111/tpj.14174. [Access]
    植物のStay-Green(SGR)はクロロフィルの分解に関わるのに対して、単細胞緑藻クラミドモナスのSGRは光合成装置の構築に関わっていることが示されました。クラミドモナスのクロロフィル分解機構は謎として残されています。

2018年

  • Yokono M, Satoh S, Tanaka T (2018) Comparative analyses of whole-genome protein sequences from multiple organisms. Sci. Rep. 8(1): 6800. doi:10.1038/s41598-018-25090-8 [Access]
    私たちはゲノム上の全てのタンパク質の配列を用いたアラインメントに基づく 系統樹を作成しました。この系統樹の作成法は、1) 人の判断を入れず全ての作成 過程がオートマティックに行われること、さらに、2) オルソログ以外のペアの 比較も作成に取り入れたこと、など、従来とは大きく異なる特徴を持つ、新しい ものです。

  • Yokono M, Umetani I, Takabayashi A, Akimoto S, Tanaka A (2018) Regulation of excitation energy in Nannochloropsis photosystem II. Photosynth. Res. 139(1-3):155-161. doi: 10.1007/s11120-018-0510-3. [Access]
    私たちは藻類バイオマスとして注目を集めているナンノクロロプシスの光化学系II超複合体が 高いquencing(熱放散)能力を持っていることを明らかにしました。これはナンノクロロプシスの 光防御に重要な役割を担っていると考えられます

  • Myouga F, Takahashi K, Tanaka R, Nagata N, Kiss A.Z, Funk C, Nomura Y, Nakagami H, Jansson S, Shinozaki K (2018) Stable Accumulation of Photosystem II Requires ONE-HELIX PROTEIN1 (OHP1) of the Light Harvesting-Like Family. Plant Physiol. 176: 2277-2291. doi: 10.1104/pp.17.01782 [Access]

  • Sato T, Shimoda Y, Matsuda K, Tanaka A, Ito H (2018) Mg-dechelation of chlorophyll a by Stay-Green activates chlorophyll b degradation through expressing Non-Yellow Coloring 1 in Arabidopsis thaliana. J. Plant Physiol. 222: 94-102. doi: 10.1016/j.jplph.2018.01.010. [Access]
    クロロフィルの分解中間体は光障害を起こす可能性があるため、クロロフィルの分解系の制御は重要です。今回、クロロフィルaの分解系を誘導するとクロロフィルbの分解系も誘導されることを明らかにしました。このことは葉緑体から核へ何らかのシグナルが伝達されていることを示しています。このシグナルの実体の解明が今後の課題です。

  • Umetani I, Kunugi M, Yokono M, Takabayashi A, Tanaka A.(2018) Evidence of the supercomplex organization of photosystem II and light-harvesting complexes in Nannochloropsis granulata. Photosynth. Res. 136(1):49-61. doi: 10.1007/s11120-017-0438-z [Access]
    ナンノクロロプシスはバイオマスの材料として脚光を浴びている藻類です。 また、光合成という観点から見ると、(一度獲得した)クロロフィルcを進化的に 失ったユニークな藻類でもあります。私たちはナンノクロロプシスの光化学系を 解析し、初めて光化学系II-LHC複合体を見出すことに成功しました。

2017年

  • 高林厚史 (2017) 光化学系の環境適応とその進化的な制約-緑藻の光化学系をモデルとして- 光合成研究 27(3) 163-171. http://photosyn.jp/journal/kaiho80.pdf>[Access]
    「光合成研究」の解説記事です。光環境に適応するため、光合成生物は多様な光化学系を獲得しました。 この記事では、緑藻に焦点を絞って、光環境適応のための、光化学系の進化について議論しています。 フリーで読める「日本語」記事ですので、興味のある方は、ぜひご覧ください。

  • 横野牧生, 高林厚史, 秋本誠志, 田中 歩 (2017) 光化学系I–光化学系II超複合体の発見と機能 新しい光防御機構 化学と生物 Vol. 55, No. 2, 2017 https://katosei.jsbba.or.jp/download_pdf.php?aid=728>[Access]
    「光化学系I–光化学系II超複合体」についての日本語レビューです。 興味のある方は、ぜひ、ご覧ください。

  • Kato Y, Yokono M, Akimoto S, Takabayashi A, Tanaka A, Tanaka R (2017) Deficiency of the Stroma-Lamellar Protein LIL8/PSB33 Affects Energy Transfer Around PSI in Arabidopsis . Plant Cell Physol. 58: 2026-2039. doi: 10.1093/pcp/pcx124. [Access]

  • Iwai M, Yokono M (2017) Light-harvesting antenna complexes in the moss Physcomitrella patens: implications for the evolutionary transition from green algae to land plants. Curr. Opin. Plant Biol. 37:94-101. doi: 10.1016/j.pbi.2017.04.002. [Access]
    コケは環境適応能が極めて高い植物ですが、その理由の1つは光化学系Iの集光アンテナにありました。

  • Kohzuma K, Sato Y, Ito H, Okuzaki A, Watanabe M, Kobayashi H, Nakano M, Yamatani H, Masuda Y, Nagashima Y, Fukuoka H, Yamada T, Kanazawa A, Kitamura K, Tabei Y, Ikeuchi M, Sakamoto W, Tanaka A, Kusaba M (2017) The Non-Mendelian Green Cotyledon Gene in Soybean Encodes a Small Subunit of Photosystem II. Plant Physiol. 173: 2138-2147. doi: 10.1104/pp.16.01589 [Access]
    この研究は広島大学草場研究室が中心になって行われました。ダイズの緑色のマメにはメンデルのエンドウマメと同じ種類のもの(d1d2)と、 1918年に寺尾博博士により報告された非メンデル型の遺伝をするもの(cytG)があります。今回cytGはクロロフィルbの分解が抑制されていること、 cytGの原因遺伝子が葉緑体のゲノムにコードされている光合成装置の遺伝子であることを、タバコの核ゲノム及び葉緑体ゲノムの形質転換体も利用しつつ、明らかにしました。 なお、中国ではd1d2、日本ではcytGがたくさん食べられています。

  • Hu X, Page MT, Sumida A, Tanaka A, Terry MJ, Tanaka R (2017) The iron-sulfur cluster biosynthesis protein SUFB is required for chlorophyll synthesis, but not phytochrome signaling. Plant J. 89(6):1184-1194. doi: 10.1111/tpj.13455 [Access]
    SUFBは、葉緑体の中の鉄硫黄タンパク質の合成に関わっていますが、さらに、phytochromeが関与する情報伝達にも関与しているという報告がありました。 この研究では、SUFBのphytochrome情報伝達経路への関与を精査し、SUFBはphytochromeの情報伝達経路には直接には関わっていないことを報告しました。 さらに、SUFB, C, Dタンパク質がクロロフィル代謝経路の中間体であるMg-protoporphyrin IX monomethylesterの代謝に関与していることを報告しました。

  • Hu X, Kato Y, Sumida A, Tanaka A, Tanaka R (2017) The SUFBC2D Complex is Required for the Biogenesis of All Major Classes of Plastid Fe-S Proteins. Plant J. 90(2):235-248. doi: 10.1111/tpj.13483 [Access]
    光化学系Iやフェレドキシンなど、光合成やその他の代謝に関わる酵素は、鉄と硫黄を利用して反応を行なっています。 これらの酵素で鉄と硫黄は特殊な構造(鉄硫黄クラスター)をとっていることが知られています。 葉緑体の中では、SUFB, C, Dからなるタンパク質複合体が鉄硫黄クラスターの合成に関与していることはわかっていましたが、 他にも葉緑体内に鉄硫黄クラスターの合成経路が存在するのか、また、SUFB, C, Dからなる複合体がどの程度鉄硫黄クラスター合成に寄与しているのかは不明でした。 本研究では、SUFB, C, Dの発現をそれぞれ抑えるRNAi植物を利用し、SUFB, C, Dが葉緑体の中の主要な鉄硫黄タンパク質の合成を担っていることを実験的に示しました。

  • Furukawa R, Kunugi M, Ihara K, Takabayashi A, Tanaka A (2017) Complete Chloroplast Genome Sequence of the Early-spanergent Green Alga Palmophyllum crassum. Genome Announc. 5(10): e01745-16. doi: 10.1128/genomeA.01745-16 [Access]
    私たちはクロロフィルbを非常に多く蓄積する緑藻のPalmophyllum crassum の葉緑体ゲノムを解読しました。 P.crassum は緑藻の共通祖先から最初期に分岐した[古い]緑藻で、その生態には謎が多く残されています。

2016年

  • Takabayashi A, Takabayashi S, Takahashi K, Watanabe M, Uchida H, Murakami A, Fujita T, Ikeuchi M, Tanaka A (2016) PCoM-DB Update: a Protein Co-Migration Database for photosynthetic organisms. Plant Cell Physiol. 58(1):e10. doi: 10.1093/pcp/pcw219 [Access]
    タンパク質は単体で働くものばかりでなく、他のタンパク質と結合し「複合体」として働いていることも珍しくありません。 私たちは、様々な光合成生物のタンパク質複合体を網羅的に解析し、その結果をWebデータベース「PCoM-DB」で公開しています。 PCoM-DBはシロイヌナズナをはじめとした、様々な光合成生物のタンパク質複合体を予測するためのツールです。ぜひ、お試しください。 [PCoM-DB(http://pcomdb.lowtem.hokudai.ac.jp/proteins/top)]

  • Bai L, Fujishiro T, Huang G, Koch J, Takabayashi A, Yokono M, Tanaka A, Xu T, Hu X, Ermler U, Shima S (2016) Towards artificial methanogenesis: biosynthesis of the [Fe]-hydrogenase cofactor and characterization of the semisynthetic hydrogenase Faraday Discuss. 198:37-58. doi: 10.1039/c6fd00209a. [Access]

  • Matsuda K, Shimoda Y, Tanaka A, Ito H (2016) Chlorophyll a is a favorable substrate for Chlamydomonas Mg-dechelatase encoded by STAY-GREEN. Plant Physiol. Biochem. 09:365-373. doi: 10.1016/j.plaphy.2016.10.020. [Access]
    クラミドモナスのクロロフィル分解酵素(マグネシウム脱離酵素)の性質を調べたところ、クロロフィルaに対して高い基質特異性を示しました。 この性質のため、葉緑体内でクロロフィルが正確に分解されると思われます。また、シロイヌナズナに導入するとクロロフィルが分解されたことから、 緑藻から陸上植物までこの酵素の機能が保存されていることがわかりました。クロロフィル分解の多様性と普遍性の解明につながると期待されます。

  • Shimoda Y, Ito H, Tanaka A (2016) Arabidopsis STAY-GREEN, Mendel’s Green Cotyledon Gene, Encodes Magnesium-Dechelatase. Plant Cell 28(9):2147-2160. doi: 10.1105/tpc.16.00428 [Access]
    クロロフィルの中心金属のマグネシウムを脱離することによりクロロフィルを分解するマグネシウム脱離酵素を発見しました。 これにより葉緑体内でのクロロフィル分解経路がすべて明らかになりました。この酵素はメンデルが遺伝の法則に使った緑色の子葉の原因遺伝子にコードされていました。 秋の紅葉はこの遺伝子の働きによると思われます。葉の老化機構の解明に発展することが期待されます。なお、この内容はIN BRIEFで紹介されました。

  • Ishikawa N, Takabayashi A, Sato F, Endo T. (2016) Accumulation of the components of cyclic electron flow around photosystem I in C4 plants, with respect to the requirements for ATP. Photosynth. Res. 129(3):261-77. doi: 10.1007/s11120-016-0251-0 [Access]

  • Ishikawa N, Takabayashi A, Noguchi K, Tazoe Y, Yamamoto H, von Caemmerer S, Sato F, Endo T.(2016) NDH-Mediated Cyclic Electron Flow Around Photosystem I is Crucial for C4 Photosynthesis. Plant Cell Physiol. 57 (10), 2020-2028. doi: 10.1093/pcp/pcw127 [Access]

  • Espinas NA, Kobayashi K, Sato Y, Mochizuki N, Takahashi K, Tanaka R, Masuda T (2016) Allocation of Heme Is Differentially Regulated by Ferrochelatase Isoforms in Arabidopsis Cells. Front Plant Sci. 7:1326. doi: 10.3389/fpls.2016.01326. [Access]

  • Takabayashi A, Niwata A, Tanaka A. (2016) Direct interaction with ACR11 is necessary for post-transcriptional control of GLU1-encoded ferredoxin-dependent glutamate synthase in leaves. Sci. Rep. 6:29668. doi: 10.1038/srep29668. [Access]
    私たちは、葉緑体のタンパク質複合体の網羅的な解析から、ACR11タンパク質がFd-GOGATと結合して複合体を形成することを見出しました。 本研究から、ACR11は無機態窒素から有機態窒素への転換を司る制御因子であることが明らかとなりました。今後は、ACR11を介した窒素代謝 の制御機構の全容解明を目指すとともに、その知見を応用することで、窒素同化能の高い植物の分子育種を進めていきたいと思います。

  • Jia T, Ito H, Tanaka A. Simultaneous regulation of antenna size and photosystem I/II stoichiometry in Arabidopsis thaliana. Planta 244(5):1041-1053. doi: 10.1007/s00425-016-2568-5. [Access]
    植物は光合成のために、クロロフィルaとクロロフィルbを持っています。本研究は、クロロフィルb合成遺伝子の発現量を任意に変え、クロロフィルbの蓄積量を変えることにより、 クロロフィルbの量が集光装置の大きさや光合成装置の構築に重要な役割を果たしていることを、実験的に証明しました。

  • Kunugi M, Satoh S, Ihara K, Shibata K, Yamagishi Y, Kogame K, Obokata J, Takabayashi A, Tanaka A. Evolution of Green Plants Accompanied Changes in Light-Harvesting Systems. Plant Cell Physiol. 57(6):1231-43. doi: 10.1093/pcp/pcw071. [Access]
    私たちは、10種類以上の緑色植物(植物&緑藻)の光合成装置を比較しました。その結果、海産性緑藻の「反応中心アンテナ」では、クロロフィル[b]が多いことを 初めて見出しました。これは、青色の光が良く届く「海中」では、クロロフィル[b]が効率的な集光に必要なためです。私たちは、「全球凍結時代」を、植物の祖先は 淡水環境で、緑藻の祖先は深海で生き延びたと考えています。今後も、光合成の観点から、緑藻や植物の進化を調べていきたいと考えています。    

2015年

  • Sato R, Ito H, Tanaka A (2015) Chlorophyll b degradation by chlorophyll b reductase under high-light conditions. Photosynth. Res.(2015) 126(2-3):249-59. doi: 10.1007/s11120-015-0145-6. [Access]
    今回我々はクロロフィルbを分解できない変異体が光障害を起こしやすいことを示すことで、クロロフィルの分解が、光環境への適応に重要であることを示しました。 この結果は自明なことのようにも思われますが、初めて実験的に証明することができました。

  • Yokono M, Nagao R, Tomo T, Akimoto S (2015) Regulation of excitation energy transfer in diatom PSII dimer: How does it change the destination of excitation energy? Biochimica et Biophysica Acta 1847(10):1274-82. doi: 10.1016/j.bbabio.2015.07.006. [Access]
    強光時には光合成装置のあるチラコイド膜の内側でpHが低下します。珪藻は、そのpHの低下に合わせて光捕集アンテナの性質を変え、過剰なエネルギーを熱に変えることが知られていました。 今回私たちは、光捕集アンテナが結合している反応中心も、pHに応じて構造を変えることを明らかにしました。反応中心の変化は光捕集アンテナの変化と連動しており、 反応中心から光捕集アンテナにエネルギーを集めて、効率よく熱に変換することに役立っていると考えられます。    

  • Yokono M, Takabayashi A, Akimoto S, Tanaka A (2015) A megacomplex composed of both photosystem reaction centres in higher plants. Nat. Commun. 26;6:6675. doi: 10.1038/ncomms7675. [Access]  
    植物は2種類の光化学系(PSIとPSII)を光合成に利用しています。従来のモデルでは、2つの光化学系が異なった場所に偏在して、電子伝達経路を介して協調して機能 していると考えていました。 一方、私たちは、6割以上の光化学系が互いに結合して、「PSI-PSII超複合体」という、巨大な複合体として機能していることを、初めて、 明らかにしました。私たちは、低温耐性などの植物の環境適応能にこの超複合体が大きな役割を果たしていると考え、精力的に研究を進めています。

  • Jia T, Ito H, Tanaka A (2015) The Chlorophyll b Reductase NOL Participates in Regulating the Antenna Size of Photosystem II in Arabidopsis Thaliana. Procedia Chemistry 14: 422-427. doi: 10.1016/j.proche.2015.03.057. [Access]
    クロロフィルbの分解酵素のNOLを過剰発現したところ、年老いた葉だけでクロロフィルbが分解されていました。 このことから NOLは何らかの因子と協調してクロロフィルbを分解していることが示唆されました。また、NOLが集光装置の大きさを制御していることが示されました。

  • Hu X, Makita S, Schelbert S, Sano S, Ochiai M, Tsuchiya T, Hasegawa SF, Hörtensteiner S, Tanaka A, Tanaka R (2015) Reexamination of chlorophyllase function implies its involvement in defense against chewing herbivores Plant Physiol. 167: 660-670. doi:10.1104/pp.114.252023. [Access]
    植物がもつ酵素クロロフィラーゼは,疎水性(水に溶けにくい性質)の葉緑素(クロロフィル)を 親水性(水に溶けやすい性質)のクロロフィリドに変える活性をもちます。 この酵素は,100 年以上も前から存在が知られていましたが,植物にとってどのような役割を担っているかは不明でした。 本研究では、北海道大学、日本曹達株式会社,チューリッヒ大学,京都大学との共同研究によって、クロロフィラーゼのはたらきによって、植物の葉は、 昆虫の幼虫に食べられた時に,葉の中に大量にある葉緑素をクロロフィリドに変換することによって、自らを防御しうることを示しました。 植物は体内に大量に蓄積している葉緑素を有効に使って、防御に役立てていると考えられます。

  • Jia T, Ito H, Hu X, Tanaka A (2015) Accumulation of NON-YELLOW COLORING 1 protein of the chlorophyll cycle requires chlorophyll b in Arabidopsis thaliana Plant J. 81(4):586-96. doi: 10.1111/tpj.12753. [Access]
    私たちは約10年前に、クロロフィルbの合成酵素の分解がクロロフィルbによって誘導されることを報告しました。 今回、クロロフィルbの分解酵素 の蓄積がクロロフィルbによって促進されることを見つけました。 どちらの場合も遺伝子発現ではなく酵素の安定化による制御です。 これらのことから、植物はクロロフィルbが増えすぎないように二重に調節していることが示されました。

  • Iwai M, Yokono M, Kondo M, Noguchi K, Akimoto S, Nakano A (2015) Light-harvesting complex Lhcb9 confers a green alga-type photosystem I supercomplex to the moss Physcomitrlla patens Nat. Plants 19;1:14008. doi: 10.1038/nplants.2014.8. [Access]

  • Maekawa S, Takabayashi A, Huarancca Reyes T, Yamamoto H, Tanaka A, Sato T, Yamaguchi J (2015) Pale-green phenotype of atl31atl6 double mutant leaves is caused by disruption of 5-aminolevulinic acid biosynthesis in Arabidopsis thaliana. PLOS ONE 10(2):e0117662. doi: 10.1371/journal.pone.0117662. [Access]

2014年

  • Lin YP, Lee TY, Tanaka A, Charng YY (2014) Analysis of an Arabidopsis heat-sensitive mutant reveals that chlorophyll synthase is involved in reutilization of chlorophyllide during chlorophyll turnover. Plant J. 80(1):14-26. doi: 10.1111/tpj.12611 [Access]

  • Harada J, Mizoguchi T, Tsukatani Y, Yokono M, Tanaka A, Tamiaki H (2014) Chlorophyllide a oxidoreductase works as one of the spaninyl reductases specifically involved in bacteriochlorophyll a biosynthesis. J. Biol. Chem. 289(18):12716-26. doi: 10.1074/jbc.M113.546739. [Access]

  • Ueda M, Tanaka A, Sugimoto K, Shikanai T, Nishimura Y (2014) chlB requirement for chlorophyll biosynthesis under short photoperiod in Marchantia polymorpha L. Genome Biol. Evol. 6(3):620-8. doi: 10.1093/gbe/evu045. [Access]

  • Ito H, Tanaka A (2014) Evolution of a new chlorophyll metabolic pathway driven by the dynamic changes in enzyme promiscuous activity. Plant Cell Physiol. 55(3):593-603. doi: 10.1093/pcp/pct203. [Access]
    1890年にFischerは酵素と基質を「鍵(基質)と鍵穴(酵素)の関係」と呼びました。しかし、実際には基質の形が本来のものとは少し異なっていても酵素反応が進む(適当な鍵でも鍵穴に入る)ことがあります。 このようなあいまいな酵素が基質特異性を高める(正しい鍵しか使えなくなる)ことが、クロロフィル代謝系の進化に貢献していることを示しました。

  • Takahashi K, Takabayashi A, Tanaka A, and Tanaka R (2014) Functional analysis of light-harvesting-like protein 3 (LIL3) and its light-harvesting chlorophyll-binding motif in Arabidopsis. J. Biol. Chem. 10;289(2):987-99. doi: 10.1074/jbc.M113.525428.[Access]
    機能の類似しているタンパク質は、しばしば保存された特徴的なアミノ酸配列 (motif)をもつ。motifはタンパク質の機能を推測する有用な手がかりとなる。本論文では、クロロフィル結合能力をもつとされるLHC motifに焦点をあて、機能解析を行った。LHC motifは光合成生物間で広く保存されており、光合成に必要な光を集めるLHC、光防御に関与するとされるOHPやSEPなどで保存されている。LHC motifの機能を解析するにあたり、本論文ではLIL3がもつLHC motifを解析に用いている。結果、LHC motifは、チラコイド膜にタンパク質をアンカーするのに必要であり、さらに、チラコイド膜でのoligomerizationに重要であることが明らかになった。

    しかし、筆者が本論文で一番注目してほしいのはFigure 2の免疫沈降である。非特異的なバンドが少なく、自画自賛しているところである!(ΦωΦ*)


2013年

  • Yamada N, Terada R, Tanaka A, Horiguchi T (2013) Bispinodinium angelaceum gen. et sp. nov. (Dinophyceae), a new sand-dwelling dinoflagellate from the seafloor off Mageshima Island, Japan J. Phycol. 49(3):555-69. doi: 10.1111/jpy.12064. [Access]

  • Yamada N, Tanaka A, Horiguchi T (2013) cPPB-aE is discovered from photosynthetic benthic dinoflagellates. J. Phycol. 50(1):101-7. doi: 10.1111/jpy.12135. [Access]
    cPPB-aEと言うクロロフィルの分解産物を渦鞭毛藻で見つけました。cPPB-aEは蛍光を出さない面白い性質があります。なぜ、この分子をためているのか良くわかりません。単細胞ですから、無駄な色素は細胞外に捨てたら良いと思うのですが。 何かの役に立っているのでしょうか。色々な疑問が湧いてきます。この仕事は、 北大理学部の堀口先生と山田さんとの共同研究です。

  • Satoh S1, Mimuro M, Tanaka A (2013) Construction of a Phylogenetic Tree of Photosynthetic Prokaryotes Based on Average Similarities of Whole Genome Sequences. PLoS ONE 8(7):e70290. doi: 10.1371/journal.pone.0070290.[Open Access]
    光合成はどのように誕生して進化したのか?現在、多くの研究者が興味を持っています。これは、光合成の進化が、植物の進化だけでなく、地球環境の変遷を知るためにも重要な知見を与えてくれるからです。私たちのグループでは、その第一歩として、光合成生物の系統樹を作る試みを行いました。従来のように、リボーソームや特定の遺伝子を用いた方法ではなく、ゲノムのすべての遺伝子情報から、ゲノム間の距離を算出し、系統樹を作成するという方法です。この方法によって光合成細菌やシアノバクテリアなど、全ての光合成生物のグループを含む系統樹の作製に成功しました。現在、この手法を発展させ、全ての生物の系統樹(Tree of Life)の作製に取り組んでいます。

  • Hu X, Tanaka A, Tanaka R (2013) Simple extraction methods that prevent the artifactual conversion of chlorophyll to chlorophyllide during pigment isolation from leaf samples Plant Methods. 19;9(1):19. doi: 10.1186/1746-4811-9-19. [Access]
    クロロフィル含量の測定は植物を研究する上で最も頻繁に使われる技術の一つです。近年、従来の吸光光度計を用いた方法に対して、HPLCによる測定方法が頻繁に使われるようになってきました。しかし、HPLCによるクロロフィル測定方法は、色素抽出の際のアーティファクトの影響を受けやすいので注意が必要です。この論文では、一般的に用いられるacetoneによる抽出法では、chlorophyllからchlorophyllideへの変換が起きやすいことを報告しています。そして、それを防ぐ簡単な方法を3種類提案しています。この論文は、雑誌のweb siteのEditor’s picksで取り上げられました。

  • Kusaba M, Tanaka A, Tanaka R (2013) Stay-Green Plants: What do they tell us about the molecular mechanism of leaf senescence. Photosynth. Res. 117(1-3):221-34. doi: 10.1007/s11120-013-9862-x. [Access]
    作物の収量をあげるためには、作物が光合成をしている期間を少しでも伸ばすことが大切だと考えられています。緑色の葉が長期間保たれる変異体をstay green変異体と呼びます。これらの変異体を研究することは、将来、作物の収量を上げることにつながるのではないかと期待されています。この総説では、いろいろな植物のstay green研究について最近の知見をまとめています。植物の老化の研究に興味を持っておられる方にもぜひ読んでいただきたいと思います。広島大学の草場信教授との共同執筆です。

  • Motoshi Kunugi, Atsushi Takabayashi, and Ayumi Tanaka Evolutionary changes in chlorophyllide a oxygenase (CAO) structure contribute to the acquisition of a new light-harvesting complex in Micromonas J. Biol. Chem. 288:19330-19341, doi:10.1074/jbc.M113.462663[Access]
    Chlorophyllide a oxygenase(CAO)はクロロフィル a(Chl a)からクロロフィル b(Chl b)を合成する酵素です.植物のCAOの構造や機能は、 これまでの当研究室の研究によって明らかされ、多くの緑藻でも同様であると考えています.一方,緑藻の一部の種のCAOは,植物のCAOとは異なり 特徴的な構造をしていました。そこで本研究では,特徴的なCAOについての研究を行い、CAOが複合体を形成して機能することと、植物のCAOとは 異なった機能を持っていることを明らかにしました.この結果は,CAOの進化と光化学系の進化との関連性を示唆していると考えています。

  • Takabayashi A1, Kadoya R, Kuwano M, Kurihara K, Ito H, Tanaka R, Tanaka A (2013) Protein co-migration database (PCoM -DB) for Arabidopsis thylakoids and Synechocystis cells SpringerPlus.2013, 2(1):148. doi: 10.1186/2193-1801-2-148. [Open Access]
    タンパク質間相互作用やタンパク質複合体の機能を調べることは多種多様な細胞 内機構を理解する上で非常に重要ですが、その解析は大変です。そこで、私たち はタンパク質複合体を網羅的に検出するためのツール「Protein co-migration database (PCoM -DB) 」を作成し、公開しましました。現在は、シロイヌナズナ のチラコイド膜およびシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803全細胞の解析 データを公開していますが、これからも光合成生物の解析データを追加していく 予定です。

  • Harada J, Mizoguchi T, Satoh S, Tsukatani Y, Yokono M, Noguchi M, Tanaka A, Tamiaki H (2013) Specific Gene bciD for C7-Methyl Oxidation in Bacteriochlorophyll e Biosynthesis of Brown-Colored Green Sulfur Bacteria PLoS ONE 8(4): e60026. doi:10.1371/journal.pone.0060026 [Open Access]
    一部の緑色硫黄細菌は、bacteriochlorophyll e (BChl e)を合成しますが、合成に関わる酵素の遺伝子は未知でした。 そこで当研究室の横野牧生によって開発されたCCCTという手法によって、 BChl eを合成する生物種のみに共通で存在する遺伝子を絞り込みました。絞り込まれた遺伝子bciDを破壊された変異体はBChl eを合成することができなくなりました。 このようにBioinformaticsと生物学的手法を組み合わせることで効率良く未知の遺伝子の機能を探ることができます。この研究は久留米大学の原田先生と共同で行いました。

  • Yamatani H, Sato Y, Masuda Y, Kato Y, Morita R, Fukunaga K, Nagamura Y, Nishimura M, Sakamoto W, Tanaka A, Kusaba K (2013) NYC4, the rice ortholog of Arabidopsis THF1, is involved in the degradation of chlorophyll-protein complexes during leaf senescence. Plant J.74(4):652-62. doi: 10.1111/tpj.12154. [Open Access]

2012年

  • 伊藤寿、田中歩、田中亮一 (2012) クロロフィル合成系の多様性はいかにして生まれたか? 光合成研究 22: 98-105.
    「光合成研究」の解説特集「光合成を支えるテトラピロール代謝の多様性」の中の一稿です。この解説特集では、田中亮一がゲストエディターを務めています。

  • Nakajima S, Ito H, Tanaka R, Tanaka A (2012) Chlorophyll b Reductase Plays an Essential Role in Maturation and Storability of Arabidopsis thaliana Seeds. Plant Physiol. 160(1):261-73. doi: 10.1104/pp.112.196881.[Open Access]
    種子の成熟中の胚でも光合成が行われています。種子の登熟過程で、光合成に 使われたクロロフィルが分解され ないと、種子の保存中に発芽率が低下するこ とが示されました。また、この時のクロロフィルの分解がABAによって制御され ていることが明らかになりました。この論文の内容は”On the Inside”にも要約 されています。

  • Tanaka R, Takabayashi A, Ito H, Tanaka A (2012) Chlorophyll metabolism in photosynthetic organisms. in Handbook of Porphyrin Science, edited by Karl M Kadish, Kevin M Smith and Roger Guilard, World Scientific, Singapore 20: 213-242
    植物のテトラピロール合成の酵素に関して、遺伝子やタンパク質の特徴、酵素反応などに関する知見を簡略にまとめてあります。クロロフィル合成系の酵素に関して興味がある人にお薦めです。

  • Shimoda Y, Ito H, Tanaka A (2012) Conversion of chlorophyll b to chlorophyll a precedes magnesium dechelation for protection against necrosis in Arabidopsis. Plant J. 72(3):501-11. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.05095.x.
    葉が老化するときには、クロロフィルは分解されます。クロロフィルaの分解経路は、すでに確定されています。 一方、クロロフィルbの分解経路は、現在までわかっていませんでした。この論文では、酵素の基質特異性を調べることで、 クロロフィルb分解経路を確定しました。また、このクロロフィルb分解がうまくいかないと、正常に老化できず、細胞死を起こすことがわかりました。

  • Yokono M, Tomo T, Nagao R, Ito H, Tanaka A, Akimoto S (2012) Alterations in photosynthetic pigments and amino acid composition of D1 protein change energy distribution in photosystem II. Biochim. Biophys. Acta 1817(5):754-9. doi: 10.1016/j.bbabio.2012.02.009. [Open Access]
    この研究は神戸大学のグループが中心となって行われたものです。ジビニルクロロフィルを持つ変異体は光障害を起こしやすいことが知られています。 しかし海洋には例外的にジビニルクロロフィルを持つラン藻が存在します。アミノ酸置換した光化学系IIのピコ秒、ナノ秒領域の蛍光の変化を調べることにより、 ジビニルクロロフィルを持つラン藻は光化学系IIの二量体間で励起エネルギーの受け渡しを行い、光障害を回避していることが示唆されました。

  • Tomo T, Kusakabe H, Nagao R, Ito H, Tanaka A, Akimoto S, Mimuro M, Okazaki S (2012) Luminescence of singlet oxygen in photosystem II complexes isolated from cyanobacterium Synechocystis sp. PCC6803 containing monovinyl or spaninyl chlorophyll a. Biochim. Biophys. Acta 1817(8):1299-305. doi: 10.1016/j.bbabio.2012.02.018. [Open Access]
    この研究は東京理科大学のグループが中心となって行われたものです。ジビニルクロロフィルを持つ変異体は光障害を起こしやすいことが知られていて、一重項酸素が関与していると推測されていました。本研究では、一重項酸素の赤外領域の蛍光を利用することにより、変異体から精製した光化学系II複合体からの一重項酸素の検出、解析を行い、これまでで生体内に最も近い環境で一重項酸素を調べることに成功しました。

  • Sakuraba Y, Balazadeh S, Tanaka R, Mueller-Roeber B and Tanaka A (2012) Overproduction of chlorophyll b retards senescence through transcriptional re-programming in Arabidopsis. Plant Cell Physiol. 53(3):505-17. doi: 10.1093/pcp/pcs006. [Open Access]
    葉が老化するときには、クロロフィルが分解することがよく知られていますが、 クロロフィル bを過剰に蓄積すると、老化が遅れることがわかりました。 この現象では、単に、クロロフィル分解の遅れにとどまらず、 老化に関連する様々な転写因子の発現が遅れることがわかりました。 この研究は、植物の老化に色素代謝(あるいはそれにともなう光化学系タンパク質の代謝) が大きく影響することを示しています。 この研究は、ドイツのマックスプランク研究所と共同で行いました。

2011年

  • Ito H, Tanaka A Evolution of a spaninyl chlorophyll-based photosystem in Prochlorococcus. Proc Natl Acad Sci U S A 108: 18014-18019
    植物の中にはジビニルクロロフィルを蓄積する変異体が存在します。このような 変異体は光障害を起こしやすいことが知られています。この変異体にお いて、 光化学系2反応中心のD1タンパク質のアミノ酸を2つ置換することにより光障害を 回避できることが今回の論文により示されました。この結果 はジビニルクロロ フィルを持つProchlorococcusの進化の一部の再現にあたると考えられます。

  • Takabayashi A, Kurihara K, Kuwano M, Kasahara Y, Tanaka R, Tanaka A The Oligomeric States of the Photosystems and the Light-harvesting Complexes in the Chlorophyll b-less Mutant. Plant Cell Physiol. 52: 2103-2114
    クロロフィルbが欠損した植物体においては、LHCIIの3量体やPSII-LHCII超複合体が蓄積していない一方で、 PSI-LHCI超複合体やPSI-NDH超複合体は正常に形成される事が明らかになりました。 これはクロロフィルbのLHCへの結合が、PSI-LHCIやPSI-NDHの超複合体形成には必ずしも必要ではないことを示しています。

  • Meguro M, Ito H, Takabayashi A, Tanaka R, Tanaka A Identification of the 7-Hydroxymethyl Chlorophyll a Reductase of the Chlorophyll Cycle in Arabidopsis. Plant Cell 23: 3442-3453
    クロロフィルbは7-ヒドロキシメチルクロロフィルaを中間体としてクロロフィ ルaに変換されています。この論文において7-ヒドロキシメチルク ロロフィル aをクロロフィルaに変換する酵素が決定されました。これによりクロロフィルの 合成、分解にかかわるすべての酵素が決定されたことにな ります。また、この 酵素はラン藻のクロロフィル合成系の酵素が変異し、新たな代謝系に利用されて いることが示されました。このことは代謝系の進化 を考えるうえで重要な知見 と考えられます。

  • Tanaka R, Kobayashi K, Masuda T Tetrapyrrole metabolism in Arabidopsis thaliana. The Arabidopsis Book 9: e0145 [Open Access]
    植物のテトラピロール代謝に関する知見の集大成を目指しました。反応経路、遺伝子、遺伝子発現制御、酵素、酵素の活性制御など、植物のテトラピロール代謝に関するさまざまな側面について、網羅的に記載しています。最近流行しているオミクス研究のリファレンスにも最適です。自分で言うのもおかしいですのですがかなりな力作ですので、テトラピロール代謝に興味のある方はぜひ一度目を通していただきたいと思います。

  • Tanaka R, Tanaka A Chlorophyll cycle regulates the construction and destruction of the light-harvesting complexes. Biophys Biochim Acta 1807: 968-976
    なぜ、植物はchlorophyll aとchlorophyll bという2種類のクロロフィルを持つのか、従来とは異なる視点でその意義を議論しています。

  • Ishida S, Morita KI, Kishine M, Takabayashi A, Murakami R, Takeda S, Shimamoto K, Sato F, Endo T. Allocation of absorbed light energy in Photosystem II to thermal dissipations in the presence or absence of PsbS subunits of rice. Plant Cell Physiol. 52:1822-1831

2010年

  • Tanaka R, Rothbart M, Oka S, Takabayashi A, Takahashi K, Shibata M, Myouga F, Motohashi R, Shinozaki K, Grimm B, Tanaka A LIL3, a light-harvesting-like protein, plays an essential role in chlorophyll and tocopherol biosynthesis. Proc Natl Acad Sci U S A 107: 16721-16725 [Open Access]
    この論文では、真核光合成藻類に保存されているLight-harvesting like (LIL)というタンパク質の一つのLIL3が、クロロフィル合成とビタミンE合成の両方に必要であることを報告しました。LILは、陸上植物の光合成に必要な、LHCと呼ばれるタンパク質と共通の構造(モチーフ)を持っているのですが、光合成には直接は関与しておらず、その機能が謎でした。LIL3は、光合成を支える代謝に必須であることがわかりました。

  • Kato K, Tanaka R, Sano S, Tanaka A, Hosaka H Identification of a gene essential for protoporphyrinogen IX oxidase activity in the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC6803. Proc Natl Acad Sci U S A 107: 16649-16654
    ・wムは、ほとんどすべての生物に必須な補酵素ですが、植物の葉緑体の祖先である、ラン藻では、その合成に必要なprotoporphyrinogen IX oxidaseの遺伝子がゲノム上に見つかっておらず、ラン藻がどうやって、ヘム(そしてクロロフィル)を合成しているのか、謎でした。我々は、植物のprotoporphyrinogen IX oxidaseの遺伝子を組み込んだラン藻を使って、斬新な手法でラン藻のprotoporphyrinogen IX oxidaseの遺伝子を同定しました。

  • Mochizuki N, Tanaka R, Grimm B, Masuda T, Moulin M, Smith AG, Tanaka A, Terry MJ. The cell biology of tetrapyrroles: a life and death struggle. Trends Plant Sci 15: 488-498
    日本、イギリス、ドイツの3カ国の著者による共同執筆です。植物のテトラピロール生合成に関して、シンプルに概説しています。

  • Tanaka R, Ito H and Tanaka A Regulation and Functions of the Chlorophyll Cycle in The Chloroplast: Basics and Applications, ed by Rebeiz C. A., Benning, C, Bohnert, H. J., Daniell, J. K., Hoober, J. K., Lichtenthaler, H. K., Portis, A. R., Tripathy, B. C. Springer pp55-77

  • Sakuraba Y, Yokono M, Akimoto S, Tanaka R and Tanaka A Deregulated chlorophyll b synthesis reduces the energy transfer rate between photosynthetic pigments and induces photodamage in Arabidopsis thaliana. Plant Cell Physiol 51: 1055-1065

  • Fujii, M., Takano, Y., Kojima, H., Hoshino, T., Tanaka, R. and Fukui, M. Microbial Community Structure, Pigment Composition, and Nitrogen Source of Red Snow in Antarctica. Microb Ecol. 59: 466-475

  • Nagane T, Tanaka, A and Tanaka R. Involvement of AtNAP1 in the regulation of chlorophyll degradation in Arabidopsis thalianaPlanta 231: 939-949 [Open Access]
    AtNAP1は、バクテリアで、SufBと呼ばれるタンパク質の仲間で、鉄硫黄クラスターの合成に必須と考えられています。 我々は、AtNAP1が植物において、クロロフィル分解に重要な役割を果たしていることを見いだしました。

  • Yabuta S, Ifuku K, Takabayashi A, Ishihara S, Ido K, Ishikawa N, Endo T, Sato F. Three PsbQ-like proteins are required for the function of the chloroplast NAD(P)H dehydrogenase complex in Arabidopsis. Plant Cell Physiol. 51: 866-876

  • Mutoh R, Mino H, Murakami R, Uzumaki T, Takabayashi A, Ishii K, Ishiura M. Direct interaction between KaiA and KaiB revealed by a site-directed spin labeling electron spin resonance analysis. Genes Cells. 15; 269-280

2009年

  • Sakuraba, Y., Yamasato, A., Tanaka, R. and Tanaka, A. Determination of a chloroplast degron in the regulatory domain of chlorophyllide a oxygenase. J. Biol. Chem. (2009) 284: 36689-36699

  • Horie, Y., Ito, H., Kusaba, M., Tanaka, R. and Tanaka, A. Participation of chlorophyll b reductase in the initial step of the degradation of light-harvesting chlorophyll a/b-protein complexes in Arabidopsis. J. Biol. Chem. (2009) 284: 17449-17456

  • Chikaraishi, Y.,Tanaka, R., Tanaka, A. and Ohkouchi, N. Fractionation of hydrogen isotopes during phytol biosynthesis Organic Geochemistry(2009) 40: 569-73

  • Hirashima, M., Tanaka, R. and Tanaka, A. Light-independent cell death induced by accumulation of pheophorbide a in Arabidopsis thaliana. Plant Cell Physiol (2009) 50: 719-729

  • Tomo T., Akimoto S., Ito H., Tsuchiya T., Fukuya M., Tanaka A. and Mimuro M. Replacement of chlorophyll with di-vinyl chlorophyll in the antenna and reaction center complexes of the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803: Characterization of spectral and photochemical properties. Biochim Biophys Acta(2009) 1787: 191-200

  • Kobayashi Y., Kanesaki Y., Tanaka A., Kuroiwa H., Kuroiwa T. and Tanaka K. Tetrapyrrole signal as a cell-cycle coordinator from organelle to nuclear DNA replication in plant cells. Proc Natl Acad Sci U S A(2009) 106: 803-807

2008年

  • Tanaka A, and Tanaka R Chlorophyll metabolism Regulation of Plant Growth & Development (2008) 43: 95-105 (Review in Japanese)

  • Sato, Y, Morita, R, Katsuma, S, Nishimura, M, Tanaka, A and Kusaba, M Two Short-Chain Dehydrogenase/Reductases, NON-YELLOW COLORING 1 and NYC1-LIKE, are Required for Chlorophyll b and Light-Harvesting Complex II Degradation during Senescence in Rice. Plant J (2008) 57: 120-131

  • Mochizuki N, Tanaka R, Tanaka A, Masuda T and Nagatani A The steady-state level of Mg-protoporphyrin IX is not a determinant of plastid-to-nucleus signaling in Arabidopsis. Proc Natl Acad Sci U S A (2008) 105: 15184-15189

  • Yamasato A, Tanaka R, Tanaka A Loss of the N-terminal domain of chlorophyllide a oxygenase induces photodamage during greening of Arabidopsis seedlings BMC Plant Biology (2008) Open Access

  • Kanematsu S, Sakuraba Y, Tanaka A, Tanaka R Characterization of Arabidopsis Mutants Defective in the Regulation of Chlorophyllide a Oxygenase Photochem Photobiol Sci (2008) 7: 1196-1205

  • Yokono M, Akimoto S and Tanaka A Seasonal changes of excitation energy transfer and thylakoid stacking in the evergreen tree Taxus cuspidata: how does it spanert excess energy from photosynthetic reaction center? Biochim Biophys Acta (2008) 1777(4): 379-387

  • Ito H, Yokono M, Tanaka R and Tanaka A Identification of a novel vinyl reductase gene essential for the biosynthesis of monovinyl chlorophyll in Synechocystis sp. PCC6803 J Biol Chem (2008) 283: 9002-9011 HUSCAP: Hokkaido Univ Collection of Schlary Papers

  • Sakuraba Y, Yamasato A, Tanaka R, Tanaka A (2008) Analysis of the N-terminal domain of chlorophyllide a oxygenase by random mutagenesis. Photosynthesis. Energy from the Sun: 14th International Congress on Photosynthesis, (2008)1049-1054

2007年

  • Nagata N, Tanaka R and Tanaka A The Major Route for Chlorophyll Synthesis Includes [3,8-spaninyl]-chlorophyllide a Reduction in Arabidopsis thaliana. Plant Cell Physiol (2007) 48: 1803-1808

  • Sakuraba Y, Yamasato A, Tanaka R and Tanaka A Functional analysis of N-terminal domains of Arabidopsis chlorophyllide a oxygenase. Plant Physiol Biochem (2007) 45: 740-749 HUSCAP: Hokkaido Univ Collection of Schlary Papers

  • Moharekar S, Moharekar S, Tanaka R, Ogawa K I, Tanaka A and Hara T Great promoting effect of high irradiance from germination on flowering in Arabidopsis thaliana – a process of photo-acclimation. Photosynthetica (2007) 45: 259-265

  • Kusaba M, Ito H, Morita R, Iida S, Sato Y, Kawasaki S, Tanaka R, Hirochika H, Nishimura M, Tanaka A A short-chain dehydrogenase/reductase is involved in LHCII and grana degradation during leaf senescence in rice. Plant Cell (2007) 19: 1362-1375
    クロロフィルサイクルの遺伝子、クロロフィルb還元酵素を初めて同定しました。興味深いことに、この遺伝子を破壊すると老化時でも緑を失わず植物が常緑化します。また、葉緑体の構造も部分的に保持されます。今後、農学的・園芸的な応用が期待されます。この研究は東大の草場先生との共同で行いました。

  • Tanaka A Photosynthetic activity in winter needles of the evergreen tree Taxus cuspidata at low temperatures. Tree Physiol (2007) 27:641-648
    寒冷地に育つ常緑樹のイチイは冬でも緑のままです。凍結温度下では光を吸収しても光合成は出来ません。このような状態は植物にとって大変危険です。どのようにしてこの危機を乗り越えているのかを調べるのがこの論文の目的です。この研究で、イチイは冬に葉緑体の構造を変え、吸収した光エネルギーを上手に捨てる機構を持っていることがわかりました。しかし、まだまだ解明すべき点が多くあります。

  • Tanaka R and Tanaka A Tetrapyrrole Biosynthesis in Higher Plants. (Review Article) Annu. Rev. Plant Biol. (2007) 58: 321-346
    従来、クロロフィル代謝の役割は、光合成にクロロフィルが必要な時に合成し、老化時に不要になったクロロフィルを分解することだけと考えられてきました。ところが、クロロフィル代謝は、常緑化や細胞死、葉緑体シグナル、植物ホルモンのレセプターなど実に多様な役割を果たしていることが明らかになってきました。クロロフィル代謝の役割と今後のこの分野の研究の可能性について議論しています。

  • Nakagawara E, Sakuraba Y, Yamasato A, Tanaka R and Tanaka A Clp Protease Controls Chlorophyll b Synthesis by Regulating the Level of Chlorophyllide a Oxygenase. Plant J (2007) 49:800-809
    クロロフィル代謝は厳密な制御を必要としています。もし、制御を失うと、植物は直ちに枯死してしまいます。驚いたことに、この制・艪ノ葉緑体プロテアーゼClpPCが重要な役割を果たしていました。詳細はこれからの研究に期待です。

  • D Aarti P, Tanaka R, Ito H and Tanaka A High Light inhibits Chlorophyll Biosynthesis at the Level of 5-Aminolevulinate Synthesis During Deetiolation in Cucumber (Cucumis sativus) Cotyledons. Photochem. Photobiol. (2007) 83: 171-176
    クロロフィルの合成量を決めているのは、おそらくその前駆体である5-アミノレブリン酸合成と考えられます。私たちは酸化ストレスが5-アミノレブリン酸合成を阻害していることを明らかにしました。

2006年

  • Takahashi H, Watanabe A, Tanaka A, Hashida SN, Kawai-Yamada M, Sonoike K, Uchimiya H. Chloroplast NAD Kinase is Essential for Energy Transduction Through the Xanthophyll Cycle in Photosynthesis. Plant Cell Physiol(2006) 47:1678-82
    キサントフィルサイクルの活性は、余分な光エネルギーを捨てるのに重要な役割を果たしています。NADキナーゼがこの活性に重要な役割を果たしていることがわかりました。この研究は東大の内宮先生との共同で行いました。

  • Satoh S, Tanaka, A Identification of Chlorophyllide a Oxygenase in Prochlorococcus Genome by Comparative Genomic Approach . Plant Cell Physiol (2006) 47: 1622-1629
    現在では、多くの光合成生物のゲノム配列が決定されています。この数は今後ますます増えていきます。このようなことを背景に、今後ゲノム情報を利用するバイオインフォマティクスが生物研究において重要な解析方法となります。この論文では、ゲノム情報に基づく種特異的遺伝子の同定方法を開発しました。バイオインフォマティックスと分子生物学をあわせた論文です。

  • Ito H, Nagata, N, Tanaka, A Evolution and photosynthesis of marine type cyanobacteria Prochlorococcus and Synechococcus. (REVIEW ARTICLE in Japanese) Gekkan Kaiyo (2006) 38: 417-424
    植物プランクトンの一種である、ProchlorococcusとSynechococcusは、熱帯や亜熱帯などの温暖域の外洋において主要な一次生産者で、地球環境にとって大変重要です。これらの光合成生物の特徴や進化について述べた日本語の総説です。

  • D. Aarti, Tanaka R, Tanaka A Effects of oxidative stress on chlorophyll biosynthesis in cucumber (Cucumis sativus) cotyledons. Physiol Plant(2006) 128: 186-197
    暗所で育てた黄化芽生え(もやし)を光の下に移すとクロロフィルの合成が始まります。ところが、強い光に移すといつまで経っても黄色いままでクロロフィルの合成や子葉の発達は見られません。私たちは、強光で生じた活性酸素がクロロフィル代謝の幾つかの酵素を特異的に阻害することを見出しました。

  • Tanaka A, Tanaka R Chlorophyll metabolism. (REVIEW ARTICLE) Curr Opin Plant Biol(2006) 9: 248-255
    クロロフィル代謝の制御や役割、また細胞内のテトラピロールの輸送と合成についてまとめました。この総説においても、クロロフィル代謝の多能性を主張しました。

  • Hirashima M, Satoh S, Tanaka R, Tanaka A Pigment shuffling in antenna systems achieved by expressing prokaryotic chlorophyllide a oxygenase in Arabidopsis. J Biol Chem (2006) 281: 15385-15393
    陸上植物のシロイヌナズナにラン藻Prochlorothrixの遺伝子を導入し、光化学系の改変に成功しました。明反応を担う色素素系に従来予想されなかった大きな改変が見られました。これは、光合成系を改変できることを示した大変重要な論文と考えています。今後農学的な応用につながることを期待しています。

2005年

  • Tanaka R, Tanaka A Effects of chlorophyllide a oxygenase overexpression on light acclimation in Arabidopsis thaliana. Photosynth Res (2005) 85: 327-40
    クロロフィルb合成遺伝子(CAO)を過剰発現させるとどのような光強度化でも低照度型の光化学系が作られることがわかりました。おそらくCAO遺伝子が光環境への馴化に重要な役割を果たしているのでしょう。

  • Akimoto S, Yokono M, Ohmae M, Yamazaki I, Nagata N, Tanaka R, Tanaka A and Mimuro M Excitation energy transfer in the antenna system with spaninyl-chlorophylls in the vinyl reductase-expressing Arabidopsis. Chem Phys Lett (2005) 409: 167-171
    私達の単離した変異株に、普通のクロロフィルとは少し異なったクロロフィルを持ったシロイヌナズナがあります。この植物の光化学系内のエネルギー移動を時間分解スペクトルと言う分析方法で調べたところ、比較的長い蛍光寿命がありませんでした。これはおそらく光化学系内の電子伝達が変化したためと考えています。

  • Yamasato A, Nagata N, Tanaka R, and Tanaka A The N-Terminal Domain of Chlorophyllide a Oxygenase Confers Protein Instability in Response to Chlorophyll b Accumulation Plant Cell (2005) 17:1585-1597
    クロロフィルb合成酵素(CAO)には、N末端に活性には必要のない余分な配列を持っていることがわかりました。興味深いことに、この配列は、クロロフィルbを認識し自分自身の安定性を制御していることがわかりました。私たちはこの研究を引き継ぎ、クロロフィルbを認識しているのはどのような機構によるのか、安定性を決める配列は何か、分解に関わるプロテアーゼは何かを調べています。

  • Nagata N, Tanaka R, Satoh S, and Tanaka A Identification of a Vinyl Reductase Gene for Chlorophyll Synthesis in Arabidopsis thaliana and Implications for the Evolution of Prochlorococcus Species Plant Cell (2005)17: 233-240
    クロロフィル合成系の遺伝子のうち、同定されていなかった最後の遺伝子を決めたという報告です。そのような意味で、私たちにとって、おそらくこの分野の研究にとっても、記念碑的な論文です。

2004年

  • Nagata N., Tanaka R., Satoh S., Minagawa J. and Tanaka A. Isolation and Characterization of a Gene for Chlorophyllide a Oxygenase from Prochlorothrix hollandica.Endocytobiosis Cell Res(2004) 15: 321-327

  • Mamoru Mimuro; Ayumi Tanaka The in vivo and in vitro Reconstitution of Pigment-protein Complexes, and its Implication in Acquiring a New System Photosynthesis research (2004)81(2):129-137
    光合成の進化を調べるため、実験進化学(進化を再現する)解析が重要であることを主張した総説です。

  • Laura L Eggink, Russell LoBrutto, Daniel C Brune, Judy Brusslan, Akihiro Yamasato, Ayumi Tanaka and J Kenneth Hoober Synthesis of chlorophyll b: Localization of chlorophyllide a oxygenase and discovery of a stable radical in the catalytic subunit BMC Plant Biology(2004) Open Access

  • Chizuko Morita-Yamamuro, Tomokazu Tsutsui, Ayumi Tanaka, and Junji Yamaguchi Knock-out of the Plastid Ribosomal Protein S21 Causes Impaired Photosynthesis and Sugar-Response during Germination and Seedling Development in Arabidopsis thalianaPlant Cell Physiol.(2004) 45: 781-788

  • Nagata N., Satoh, S., Tanaka, R. and Tanaka, A. Domain structures of chlorophyllide a oxygenase of green plants and Prochlorothrix hollandica in relation to catalytic functions. Planta(2004) 218: 1019-1025 HUSCAP: Hokkaido Univ Collection of Schlary Papers

  • Tanaka, A., Hirashima, M. and Tanaka, R. Chlorophyll Metabolism and Plant Growth (in Japanese) Kagaku to Seibutsu(2004) 42: 93-98
    クロロフィル代謝に・ヌのような興味深い話題があるかを紹介した日本語の総説です。

2004年

  • Tanaka, R, Hirashima, M, Satoh S, and Tanaka, A (2003) The Arabidopsis-accelerated cell death Gene ACD1 is Involved in Oxygenation of Pheophorbide a: Inhibition of the Pheophorbide a Oxygenase Activity does not Lead to the “Stay-Green” Phenotype in Arabidopsis Plant Cell Physiol. 44: 1266-1274 クロロフィル分解において最も重要と考えられてきた遺伝子(Phephorbide a oxygenase)を初めて同定した論文です。興味深いことに、この遺伝子は、以前細胞死に関係する遺伝子ACD1 (Accelerated cell death 1)として単離されていました。その後の私達の研究で、この遺伝子は細胞死にも重要な役割を担っていることがわかりました。

  • Matsuki, S., Ogawa, K., Tanaka, A. and Hara, T. Morphological and photosynthetic responses of Quercus crispula seedlings to high-light conditions. Tree Physiol.23: 769-775

  • Moharekar, S. T., Lokhande (Moharekar), S. D., Hara, T., Tanaka, R., Tanaka, A. and Chavan, P. D. (2003) Effects of salicylic acid on chlorophyll and carotenoid contents of wheat and moong seedlings. Photosynthetica 41: 315-317

  • Duncan, J., Bibby, T., Tanaka, A. and Barber, J. (2003) Exploring the ability of chlorophyll b binding to the CP43′ protein induced under iron deprivation in a mutant of Synechocystis PCC 6803 containing the cao gene. FEBS Letters 541: 171-175

  • Masuda, T., Tanaka, A. and Melis, A. (2003) Chlorophyll antenna size adjustments by irradiance in Dunaliella salina involve coordinate regulation of chlorophyll a oxygenase (CAO) and Lhcb gene expression Plant Molecular Biology 51: 757–771


2002

  • Satoh, S. and Tanaka, A. (2002) Chlorophyll b inhibits the formation of photosystem I trimer in Synechocystis sp PCC6803. FEBS Letters 528:235-240

  • Yamasato A, Kamada T, Satoh K. (2002) Random mutagenesis targeted to the psbAII gene of Synechocystis sp. PCC 6803 to identify functionally important residues in the D1 protein of the photosystem II reaction center.Plant Cell Physiol. 43(5):540-548

2001

  • Tanaka R., Koshino Y., Sawa S., Ishiguro S., Okada K and Tanaka A. (2001) Overexpression of chlorophyllide a oxygenase (CAO) enlarges the antenna size of photosystem II in Arabidopsis thaliana Plant J.26, 365-374 クロロフィルb合成酵素CAOを過剰発現させると、光合成のために光を集める装置(集光装置と呼んでいます)を大きくすることに成功しました。私たちは、これを利用すれば、低照度下でも育つ植物が作れると期待しましたが、残念ながらこの点は実現していません。今後の課題です。

  • Yamasato A, Satoh K. (2001) The Establishment of Conditions to Efficiently Screen Photosynthesis-Deficient Mutants of Synechocystis sp. PCC 6803 by Nitrofurantoin Treatment. Plant Cell Physiol.42, 414-418

  • Satoh S., Ikeuchi M., Mimuro M. and Tanaka A. (2001) Chlorophyll b expressed in cyanobacteria functions as a light-harvesting antenna in photosystem I through flexibility of the proteins.J. Biol. Chem. 276, 4293-4297 ラン藻は陸上植物に多く見られるクロロフィルbという光合成色素を持っていません。このようなラン藻にクロロフィルb合成遺伝子CAOを導入するとクロロフィルbが合成されました。驚いたことに、このクロロフィルbは光化学系に組み込まれ、光合成の働きを担いました。これは、進化の過程で、新しい色素を獲得した機構を考える参考になります。


2000

  • Tanaka R. and Tanaka A. (2000) Chlorophyll b is not just an accessory pigment but a regulator of the photosynthetic antenna. Porphyrins. 9, 240-245 [Download] *Acrobat Reader version 5 or later for windows together with the Japanese language kit or Acrobat Reader version 4 or later for mac is required.

  • Papenbrock J., Mock H-P.,Tanaka R., Kruse E. and Grimm B. (2000) Role of magnesium chelatase activity in the early steps of the tetrapyrrole biosynthetic pathway. Plant Physiol. 122: 1161-1170

  • Oster U.,Tanaka R., Tanaka A. and Rudiger W. (2000) Cloning and functional expression of the gene encoding the key enzyme for chlorophyll b biosynthesis (CAO) from Arabidopsis thaliana. Plant J. 21: 305-310

  • Maki Y., Tanaka A. and Wada A.(2000) Stoichiometric analysis of barley plastid ribosomal proteins. Plant Cell Physiol., 41:289-299


1999

  • Tomitani A., Okada K., Miyashita H., Matthijs H. C. P., Ohno T. and Tanaka A.
    (1999) Chlorophyll b and phycobilins in the common ancestor of cyanobacteria and chloroplasts. Nature, 400; 159 – 162 従来、フィコビリソームを持ったラン藻が葉緑体の起源と考えられてきました。私たちは、遺伝子の解析をすることで、これとは違うものが葉緑体の起源となったことを主張しました。また遺伝子を失うことも進化にとって重要な出来事と議論しています。

  • Tanaka R., Oster U., Kruse E., Rüdiger W. and Grimm B.
    (1999) Reduced activity of geranylgeranyl reductase leads to loss of chlorophyll and tocopherol and to partially geranylgeranylated chlorophyll in transgenic tobacco plants expressing antisense RNA for geranylgeranyl reductase. Plant Physiol. 120: 695-704


1998

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    (1998) Ribosomal proteins in the Cyanobacterium Anabena variabilis strain M3: Presence of L25 protein. Plant Cell Physiol. 39: 1367-1371.


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  • Tanaka R, Yoshida K, Nakayashiki T, Tsuji H, Inokuchi H, Okada K and Tanaka A(1997) The third member of the hemA gene family encoding glutamyl-tRNA reductase is primarily expressed in roots in Hordeum vulgare. Phososynth. Res. 53: 161-171

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