クロロフィルの分解
植物の葉が枯れるとき緑色を失うのはクロロフィルが分解されるためです。
クロロフィルの分解は酵素による生物学的な方法によって行われます。
枯葉や枯草は茶色をしていますが、”なんとなく”色が抜けるわけではありません。
ホウレンソウを長く保存すると黄色くなりますが、茹でると黄色くなることはありません。
これは熱のせいでクロロフィルを分解する酵素が変性してクロロフィルを分解できなくなってしまうためです。
つまり植物は酵素を使ってわざわざクロロフィルを分解しています。
クロロフィルaはグルタミン酸から十数段階の反応を経て合成されます。クロロフィルbはクロロフィルaから合成されます。クロロフィルbはクロロフィルaに戻ることができます。クロロフィルは中心にマグネシウムを持つ環状構造をしています。マグネシウムを外してクロロフィルaを分解します。この反応を触媒する酵素はMg脱離酵素(通称Stay-Green、略してSGR)と呼ばれています。
左がクロロフィルaの溶液、右は塩酸を加えてMgを外したものです。
Mg脱離酵素はこれと同じ反応を行います。
右のマグネシウムが取れたクロロフィルの分解産物はほとんど色がありません。